Revival FlowAI / SECURITY FIELD GUIDE
書類を確認する架空の事業者。生成イメージであり、実際の顧客や被害の写真ではありません。

AI導入・情報漏洩の不安に答える

AIの情報漏洩。
何が危険で、
何が誤解か。

「怖いから使わない」と、
「便利だから任せる」の、間にある話。

2026年10月19日 改訂・内容確認
編集:合同会社リバイバルフロー

写真はすべて生成イメージ。実在の企業・顧客・事故を撮影したものではありません。

THE SHORT ANSWER

AIが攻撃に使われた。
だから、AIを使う会社が
狙われた?

その2つは、別の話です。

攻撃者がAIで偽メールや偽動画を作ることと、被害企業がAIを導入しているかは別です。AIを使っていない会社にも、攻撃は届きます。

ただし、自社でAIを使う場合にも、入力・保存・共有・接続先・操作権限に応じたリスクがあります。「AIが危険か」だけでなく、「何を渡し、何を任せるか」を見れば、対策を具体的にできます。

個別の事件の原因は、調査報告で確認が必要です。「最近の漏洩はすべて攻撃側のAIが原因」とは断定できません。

IPAの利用者向け資料 ↗
01

NOT ALL AI RISKS ARE THE SAME.

ニュースの「AI」を、
3つに分ける。

同じ「AI関連の被害」でも、入口が違えば守り方が違います。

A

攻撃者が使うAI

偽の声・偽メールで、人をだます。

AIで作った連絡 → 担当者 → 送金・認証

自社がAIを使わなくても起こり得ます。

守る場所

相手が本物か、連絡とは別の経路で確かめる。

B

自社で使うAI

情報を入れる・保存する・共有する。

業務資料 → AIサービス → 保存・共有

従来のクラウド利用と共通する問題もあります。

守る場所

何を渡してよいか。契約・設定・公開範囲を確認する。

C

システムにつなぐAI

読む範囲・動く範囲が大きくなる。

外部文書 → AI → 社内検索・操作

AI特有の問題と、権限管理の問題が重なります。

守る場所

必要な資料と機能だけに制限し、重要操作は人が承認する。

分類は理解のための整理です。ひとつの事故に複数の原因が重なる場合もあります。

02

LESS FEAR. MORE PRECISION.

不安の中には、
本当のリスクと、誤解がある。

気になる疑問を開いてください。「安心」と言い切るのではなく、どの条件を確認すればよいかを示します。

01AIに入力したら、すぐ全世界に公開される?+

入力と一般公開は、同じではありません。

外部のAIサービスに入力することは、そのサービスへ情報を渡すことです。ただし、それがそのままインターネットで誰にでも公開されることを意味するわけではありません。共有リンク、外部連携、提供元のデータ利用や不具合は、別に確認します。

見るべき点:入力先と共有先を、別々に確かめる。

OWASP:情報の流出 ↗
02学習されない設定なら、漏洩しない?+

学習・保存・閲覧・共有は別です。

学習に使わなくても、処理や履歴のためにデータが保存される場合があります。たとえばMicrosoft 365 Copilotの公式説明では、基盤モデルの学習に使わないことと、対話履歴を保存することが併記されています。同じ名称の個人用サービスや他社へ、そのまま一般化はできません。

見るべき点:学習の有無だけでなく、保存期間と削除・管理権限も見る。

Microsoft:保存と学習 ↗
03有料・法人向けなら、何を入れても大丈夫?+

料金だけでは、入力の可否は決まりません。

契約、利用目的、会社のルール、利用する機能によって条件が変わります。個人情報を扱う場合は、利用目的の範囲や提供先の扱いも確認が必要です。法人向けであることは、すべての資料を渡してよいという許可ではありません。

見るべき点:正式な製品名・プラン・アカウント・契約を確認する。

個人情報保護委員会 ↗
04名前を消せば、匿名だから安全?+

組み合わせから、誰か分かることがあります。

会社名、役職、住所、宿泊日、具体的な相談内容などが残れば、相手が推測できる場合があります。名前だけの置換を、法的な匿名加工ができたこととは扱いません。最初は、元の資料を入れず架空の例に置き換える方法があります。

見るべき点:氏名以外にも、特定につながる情報が残っていないかを見る。

個人情報保護委員会 ↗
05社内AI・ローカルAIなら、外へ漏れない?+

設置場所だけでは判断できません。

本当に外部通信をしない構成か。ログ・バックアップ・更新・拡張機能はどうか。社内の誰が閲覧できるか。外部送信を減らしても、内部の誤共有や端末の侵害などは別に残ります。

見るべき点:データの行き先と、読める人・動ける機能を確かめる。

OWASP:情報の流出 ↗
06RAGなら、正しい社内資料だけで答える?+

検索の権限と、回答の正しさは別です。

RAGは必要な資料を探してAIへ渡す仕組みです。検索対象や権限が広すぎれば、別部署の資料が混ざるおそれがあります。正しい資料があっても、要約や判断の誤りがなくなるわけではありません。

見るべき点:検索対象を限定し、利用者ごとの権限と原文を確認する。

IPA:利用者向け対策 ↗
07「秘密を漏らすな」と指示すれば防げる?+

指示文だけを、最後の防壁にしません。

外部文書の指示に影響されるプロンプトインジェクションは、指示文やフィルターだけで完全に防げるとは限りません。AIの外側で権限を制限し、出力の扱いと重要操作を制御する必要があります。

見るべき点:読み取りと送信を分け、送信前に内容と宛先を人が確認する。

英国NCSC:指示の混入 ↗
08禁止すれば、会社のAIリスクはなくなる?+

見えない利用が残ることもあります。

社員が個人アカウントや未承認の拡張機能を使うと、会社が入力情報や連携先を把握できなくなります。禁止事項に加え、使ってよい手段、相談先、試せる仕事を用意することが大切です。

見るべき点:未承認AIを責めるだけでなく、業務上の必要と代替手段を整理する。

英国NCSC:未承認AI ↗
必要な資料だけを選び分ける場面を表した生成イメージ

DATA MINIMISATION

渡さなくていい情報は、
最初から、渡さない。

架空の作業を表現した生成イメージ。
03

WHERE DOES YOUR DATA GO?

「学習オフ」で閉じるのは、
すべての出口ではない。

これは一般的な確認項目を表した概念図です。実際のデータの扱いは製品・契約・設定ごとに異なります。

まず、言葉の違いから。

「その場で答える」「学習する」「履歴を残す」は、別のこと。

ANSWER

その場で答える

渡した文章や資料を使い、今回の回答を作ること。資料を読ませたからといって、それだけでモデル全体の学習が行われたとは限りません。

TRAIN

モデルを学習させる

データを使って、モデルそのものの振る舞いを調整すること。入力がその用途に使われるかは、契約や設定で確認します。

STORE

履歴・メモリを残す

会話や情報を保存し、あとで参照できるようにすること。モデルの学習に使わなくても、保存する設計はあり得ます。機能ごとの扱いを確認します。

「AIが覚えた」という一言でまとめると、この違いが見えなくなります。Microsoftの保存・学習に関する説明 ↗

図を切り替える

学習への利用は、保存・共有とは別に確認する項目です。

01

入れる資料

本文・添付・写真・音声

02

AIサービス

処理・履歴・運用ログ

03

出力と共有

回答・リンク・連携先

保存・管理

何日残る? 誰が読める?
削除できる範囲は?

学習とは別の確認
モデルの学習

入力を学習へ使うか。
どの契約・設定が適用されるか。

利用条件を確認
外部連携・共有

検索語や資料が別のサービスへ渡る?
共有リンクは誰が開ける?

学習とは別の確認

「外に送る」と「漏洩」は同じ?

承認された提供先へ、契約とルールに沿って必要な情報を送ることと、意図しない相手へ漏れることは分けて考えます。外部提供が許されるかは、情報と契約によって判断が必要です。

削除ボタンで、全部消える?

画面の履歴、管理用ログ、バックアップ、すでに共有した相手のコピーは、同じとは限りません。サービスの保存・削除条件を確認し、ボタンを押しただけで回収済みと判断しません。

Microsoftの保存・学習の説明 ↗OWASPの情報管理の整理 ↗
04

READ THE INCIDENT, NOT JUST THE HEADLINE.

事例を読むと、
「怖い」の正体が見えてくる。

実被害の公表、提供元の調査報告、技術研究。この3つを区別して読んでください。

01

実被害を政府が公表

偽の会議が、送金の指示になった。

香港政府は2024年01月に受理した事案として、財務責任者を装うメールと偽の録画会議を使った送金詐欺を説明しています。

この事例から分かること

攻撃者がAIで人をだます話です。自社のAIへ機密を入力したことによる漏洩とは違います。

この事例だけでは言えないこと

被害企業がAIを導入していたから被害に遭った、とはこの資料から判断できません。

自社に置き換えるなら:送金先や緊急指示を、登録済み連絡先・社内の承認手順で再確認する。

公表資料を読む ↗
電話と会議画面を確認する架空の担当者。実際の詐欺事件の再現ではない生成イメージ。
生成イメージ。上記の実事件を撮影・再現したものではありません。
02

AI提供元の調査報告

攻撃の作業に、AIが使われた。

Anthropicは、攻撃者がAIエージェントをサイバー攻撃の作業に悪用した事案を報告しています。ここでは同社の調査報告として扱います。

この事例から分かること

AIは攻撃を進める側の道具にもなります。標的企業のAI利用とは別の軸です。

この事例だけでは言えないこと

この報告だけで、世の中の攻撃の大半がAI化した、あるいはAI導入企業ほど被害が多い、とは言えません。

自社に置き換えるなら:認証・更新・権限・監視など、既存の対策を止めない。

公表資料を読む ↗
03

技術研究・修正済みの問題

AI連携の中に、情報が出る経路ができた。

EchoLeak(CVE-2025-32711)は、Microsoft 365 Copilotに関するプロンプトインジェクションの技術事例です。研究論文は外部メールを処理する過程からの情報流出と、公開前のサーバー側修正を説明しています。

この事例から分かること

AIが内部情報と外部入力を扱う設計には、AI利用側のリスクもあります。「全部、攻撃者がAIを使うだけ」ではありません。

この事例だけでは言えないこと

研究で示された可能性を、顧客の大規模な実被害や、現在も未修正の同じ問題としては扱いません。

自社に置き換えるなら:提供元の修正情報を確認し、外部入力・内部資料・外向き通信の境界を設計する。

公表資料を読む ↗
05

SIX PLACES TO CHECK.

漏れる経路を、
「学習」だけに絞らない。

以下は確認する経路の整理であり、発生確率や被害件数のランキングではありません。

経路起こり得ること減らす方法/なお残ること
01入力

未承認サービスに資料を貼る

送ってよい情報か、サービスと契約を承認。

残る点:誰かがルール外で使う、貼り付け範囲を誤る。

02学習・再利用

契約や設定を確かめずに使う

正式な製品・プラン・設定ごとの条件を確認。

残る点:設定や利用条件の変更を見落とす。

03履歴・共有

公開リンクや共有画面に情報が残る

閲覧範囲、履歴、録音・文字起こし、ログを管理。

残る点:すでに共有されたコピーは回収できないことがある。

04アカウント

乗っ取られて、履歴や接続先を見られる

多要素認証、個別アカウント、退職時の停止。

残る点:端末の侵害や、人をだます手口は別に残る。

05社内検索・連携

広すぎる権限で資料をまとめて読める

利用者ごとの権限を見直し、対象フォルダを限定。

残る点:元の共有設定が誤っていると、AIもその範囲を拾う。

06外部文書・提供元

指示の混入、拡張機能の不具合、提供元の脆弱性

連携を絞り、修正情報と出力・操作を確認。

残る点:提供元を含むすべての不具合を自社だけでなくすことはできない。

ここで示す対策は検討の入口です。被害の可能性をゼロにする保証ではありません。OWASP:情報の流出 ↗英国NCSC:未承認AI ↗

06

LESS ACCESS. LESS DAMAGE.

AIを賢くする前に、
任せる範囲を、細くする。

プロンプトインジェクションは、入力された内容でAIの動作や出力が意図せず変わる問題です。ここでは、外部の資料に混ざった指示が本来の依頼に影響する「間接型」を考えます。影響は、AIが読める情報や実行できる機能によって変わります。

読み取り対象を限定する考え方を模型で表現した生成イメージ。実際のシステム構成ではありません。
資料の境界操作の境界承認の境界

模型は生成イメージです。実際の製品・システム構成を示すものではありません。

外部のメール・文書

読む内容に、
意図しない指示が混ざることも。

AIが処理社内の広い資料にアクセス
そのまま送信・更新

誤った内容が外部や業務システムへ影響する可能性。

便利さと一緒に、影響する範囲も広がる。

資料も機能も幅広く許可すると、意図しない出力・操作が届く範囲が増えます。

「読むだけ」でも、リスクは残る。

送信権限を外せば、その機能による誤送信は抑えられます。ただし、回答画面への機密の混入や、読める資料の範囲の問題は残ります。権限と出力の確認は、別に必要です。

「人が見る」だけでも、足りない。

大量の出力を眺めるだけでは確認できません。送る直前の本文・宛先・添付、変更前後の差分など、承認者が判断できる材料を用意します。確認できない操作は任せません。

英国NCSC:残余リスクと設計 ↗OWASP:過大な権限と自律性 ↗英国NCSC:自律実行型AIの導入 ↗
07

MAKE IT YOUR OWN WORK.

自分の仕事なら、
何を変えればいい?

すべて架空の検討例です。個別企業の安全性を自動判定する機能ではありません。入力資料、AIに任せる範囲、人の確認をセットで見てください。

公開情報で試す

営業時間の案内を、分かりやすく書き直す。

すでに自社サイトで公開している情報から、案内の下書きを作る仕事です。

そのまま渡す前に

資料を、分ける。

営業時間と一緒に、予約台帳まで貼ってしまわない。

最初に試す資料の例

必要なものだけ。

公開済みの営業時間とサービス案内だけ。予約情報や個人名は含めない。

AIの役割

案内文の下書きまで。自動で公開しない。

人の確認

担当者が元の営業時間・料金・条件と照合し、公開する。

残るリスク

AIが条件を書き足すことがある。公開情報でもアカウント管理は必要。

すべての業務例を、テキストで読む +

営業時間の案内を、分かりやすく書き直す。

すでに自社サイトで公開している情報から、案内の下書きを作る仕事です。

資料を渡す前に
営業時間と一緒に、予約台帳まで貼ってしまわない。
最初に試す資料の例
公開済みの営業時間とサービス案内だけ。予約情報や個人名は含めない。
AIの役割
案内文の下書きまで。自動で公開しない。
人の確認
担当者が元の営業時間・料金・条件と照合し、公開する。
残るリスク
AIが条件を書き足すことがある。公開情報でもアカウント管理は必要。

工事の見積資料から、確認すべき項目を整理する。

見積書を自動承認するのではなく、担当者の確認表を作る例です。

資料を渡す前に
施主名、住所、未公開図面、取引先別の単価を含む原本を、そのまま未承認AIへ渡さない。
最初に試す資料の例
最初は架空の工事資料で、品目・数量・未確定欄を整理する。実資料は入力可否、契約、保存・共有を承認してから必要部分だけ。
AIの役割
項目の整理と、不足している資料の洗い出し。安全性や単価、見積承認を確定しない。
人の確認
工事担当者が原本と数量・単位・範囲を照合。単価・安全・施工可否は責任者が判断する。
残るリスク
数量の読み違い、単位の混同、図面や契約条件の見落とし。確認する手間は残る。

ホテルの問い合わせへの返信を、下書きする。

担当者が条件を確認してから返信する仕事です。

資料を渡す前に
予約番号、氏名、連絡先、宿泊日の入ったメールを、個人用AIへ丸ごと貼らない。
最初に試す資料の例
架空の質問『子ども2人と泊まる際のベッド条件を知りたい』と、公開済みの利用条件で試す。予約情報との照合は別に行う。
AIの役割
公開条件に沿った文章案を作る。空室、予約変更、返金を確定しない。
人の確認
宿泊担当者が実際の予約・設備・子どもの条件を確認し、宛先と本文を照合して送る。
残るリスク
添い寝条件の書き足し、予約との不一致、宛先の取り違え。送信を人に残しても確認は必要。

給与データではなく、説明文の構成を検討する。

人事・給与の実データを扱う前に、架空の例で説明の分かりやすさを検討する仕事です。

資料を渡す前に
従業員名、給与、評価、健康情報の一覧を、未承認のAIへ入力しない。
最初に試す資料の例
架空の社員と架空の制度で、説明文の順序だけを試す。実資料を使う場合は権限と利用目的、契約、保存条件の確認が先。
AIの役割
文書構成の下書き。給与額、法令解釈、人事評価を決定しない。
人の確認
人事責任者が制度原本と照合。個別の法務・税務・労務の判断は担当専門家と確認する。
残るリスク
架空の例でも、誤った制度説明をそのまま転用するおそれ。個人の処遇をAIだけで決めない。

社内マニュアルを検索して、該当箇所を探す。

社内資料を検索して答えるRAGを導入する前の、確認項目の例です。

資料を渡す前に
全社の共有フォルダを、管理者権限で一括接続しない。人事・顧客情報まで混ぜない。
最初に試す資料の例
承認したマニュアルだけを限定フォルダへ。利用者ごとの権限を確認し、まず架空の資料・テスト環境で範囲を確かめる。
AIの役割
根拠の箇所を探し、引用元と一緒に候補を示す。資料を編集・削除する機能は付けない。
人の確認
担当者が引用元を開き、版・適用範囲・利用者の閲覧権限を確認。不明なら担当部署へ聞く。
残るリスク
古い版の混入、引用の取り違え、元の共有設定の誤り。検索できたことを正しさの保証にしない。
資料と出力を人が照合する架空の作業を表した生成イメージ

HUMAN REVIEW IS A TASK, NOT A SLOGAN.

「人が確認する」を、
ちゃんと仕事にする。

元資料と比べる。宛先を見る。差分を見る。
確認できる形にして、初めて任せる。

架空の担当者・作業を表現した生成イメージ。
08

ACCEPT THE RIGHT RISK.

許容範囲は、
「便利さ」だけで決めない。

発生確率が分からなくても、漏れた場合の影響、戻せるか、気づけるか、人が確認できるかは考えられます。このページは安全性の認証ではなく、判断を具体化するためのガイドです。

始め方の例

公開・架空の資料で、
下書きまで。

会社が認めたサービスで、確認する担当者を決める。機密を入力しない条件から試す。

事前に確認

個人・機密の情報を、
外部へ渡す。

利用目的、契約上の制限、保存・共有・削除の扱い、会社のルールを確認して承認する。

設計と検証が必要

社内資料を探す。
システムにつなぐ。

利用者ごとの権限、出力への混入、連携先と操作範囲を確認する。過大な管理者権限を渡さない。

任せない判断をする

取り消せない操作。
確認できない最終判断。

送金・契約確定・人事評価・医療・法務・安全の重要判断を、AIの回答だけで確定しない。

この配置は例の整理であり、安全/危険を機械的に区分する尺度ではありません。実際の条件を責任者が確認してください。

始める前に、答えを決める5つの質問。

  1. もし漏れたら、誰にどんな影響がある?個人、取引先、従業員、契約への影響を考える。
  2. その情報を、入力する権限はある?社内の承認だけでなく、情報の利用目的や契約も確認する。
  3. 間違えたとき、止めて戻せる?下書きと送信、試用と本番を分ける。
  4. 誰が何を見て確認する?原文、宛先、添付、変更差分を確認できるようにする。
  5. 何が変わったら、見直す?新しい連携、権限、モデル、契約、担当者の変更をきっかけにする。

個人情報の扱いは 個人情報保護委員会 ↗、リスクの幅広い検討は NIST AI 600-1 ↗ を参照。ここでの質問は当社の実務上の整理です。

社内で使う「AI利用範囲メモ」を開く +

実際の顧客情報・パスワードは書かず、資料の種類と確認先を記録してください。入力欄はなく、このページへ業務情報を送信する必要はありません。

対象の仕事:
使用サービス・正式なプラン・アカウント:
入力してよい情報/入れてはいけない情報:
利用目的・契約・社内ルールの確認先:
保存期間・学習利用・削除の扱いの確認先:
連携するシステム・フォルダ/閲覧できる人:
許可する操作/人の承認が必要な操作/禁止操作:
出力を確認する担当者・確認材料:
記録するもの・保存期間・記録を読める人:
止める方法・事故の連絡先:
承認者・承認日・見直す条件:
09

WHEN SOMETHING GOES WRONG.

もし、送ってはいけない
情報を、送ったら。

あわてて別のAIへ状況を貼り直さない。共有・連携を止め、社内の責任者へ連絡することから始めます。

  1. 01

    広がる経路を止める

    共有リンク・外部連携・自動処理を停止。どこを止めるかは社内担当者や提供元と確認します。

  2. 02

    記録を保ち、連絡する

    日時、サービス、資料の種類、送信先、共有範囲を記録。証拠をむやみに消さず、記録を読める人も限定します。

  3. 03

    影響を確かめる

    誰が読めたか、何が保存されたか、連携先に渡ったかを確認。認証情報が含まれれば無効化・再発行を担当者と進めます。

  4. 04

    必要な対応を判断する

    削除依頼や履歴削除だけで回収済みとは扱いません。通知・報告の要否は事実を整理して責任者や専門家と判断します。

  5. 05

    再開の条件を変える

    原因と対策を確認し、情報・権限・操作・確認手順を修正。同じ条件のまま急いで再開しません。

一般的な初動の整理です。進行中の事故は自社の対応手順と専門窓口の指示を優先してください。

10

NOT EVERY AI ERROR IS A DATA LEAK.

情報漏洩ではない、
大切なリスクもある。

間違った内容を信じる

もっともらしい説明、存在しない出典、誤った金額。原文や公式情報と照合し、AIの自信のある口調を根拠にしません。

権利・偏り・説明責任

生成物をそのまま販売・採用・評価に使う前に、権利や公平性、判断の責任を確認します。文章が自然でも、適切とは限りません。

処理の失敗・料金・停止

連続実行による利用料、誤更新、サービス停止。試用と本番を分け、利用上限・記録・止め方・手作業の代替を用意します。

NISTの生成AIリスクの整理 ↗

各項目の対応は業務次第です。すべてをひとつの「セキュリティ設定」で解決できるわけではありません。

11

QUESTIONS, IN PLAIN JAPANESE.

まだ気になることに、
言葉を難しくせず答える。

AIを使っていない会社も、AIを使った攻撃の被害に遭いますか?+

遭う可能性があります。攻撃者がAIで偽メールや偽音声を作ることと、被害を受ける会社がAIを導入しているかは別です。個別の事件の原因は調査結果で確認する必要があります。

学習に使われないAIなら、機密情報を入れてよいですか?+

それだけでは判断できません。学習への利用と、入力の送信・保存期間・運用上の閲覧・外部連携・共有設定は別の確認項目です。会社の承認と契約・設定の確認が先です。

名前を消せば個人情報ではなくなりますか?+

名前だけを消しても、住所、日付、役職、取引内容の組み合わせから個人を特定できることがあります。最初の試用では、実際の情報を加工するより架空の資料に置き換える方が判断しやすくなります。法的な匿名加工の判断とは分けてください。

法人向け・有料のAIなら安全ですか?+

料金や法人向けという名前だけでは決まりません。契約上のデータ利用、保存・削除、管理者の権限、認証、連携先、事故時の対応を確認してください。必要な機能もプランごとに異なります。

社内AIやRAGなら情報漏洩しませんか?+

社内資料を検索して答える仕組みでも、利用者が読める範囲の制御が必要です。別部署の機密資料が検索に混ざらないか、回答や引用から情報が出ないかを確認します。社内設置でも端末、権限、ログ、更新の対策は必要です。

AIへの指示に「秘密を漏らすな」と書けば十分ですか?+

十分ではありません。外部の文書などに含まれる指示の影響を完全には防げないため、AIが読める資料と実行できる操作をシステム側で制限し、重要な操作は人が承認する設計が必要です。

不安ならAIを全面禁止すべきですか?+

一律の結論は出せません。まず公開情報や架空の資料だけを使い、外部への送信操作を任せず、人が確認する範囲を定める方法があります。扱う情報や業務によっては利用を見送る判断も必要です。

AIに任せてはいけない判断は何ですか?+

送金、契約確定、人事評価、医療・法務・安全に関する最終判断など、影響の大きい判断をAIの回答だけで確定しないでください。責任を持つ担当者や専門家が確認できない場合は、自動化を進めないことが基本です。

録音や文字起こしは、文章を貼るより安全ですか?+

媒体が違っても、取引先の名前や会話内容、声などが含まれます。録音・利用の説明や同意が必要か、利用目的、保存先、閲覧者を確認してください。会議全体を渡す必要があるかも見直します。

写真やPDFにも機密情報は入っていますか?+

画面の背景、名札、住所、図面、コメントや添付情報などが含まれることがあります。見えている一文だけでなく、ファイル全体を確認します。最初は、機密が入っていない架空のサンプルで試してください。

社員の個人アカウントで試してもいいですか?+

会社が認めた手段かを先に確認します。個人用と法人用で契約・設定・管理できる範囲が違う場合があります。サービス名が同じでも、会社の情報を入力してよいとは限りません。

AIに社内資料をつなぐ前に、何から確認しますか?+

資料の共有先と利用者の権限です。必要なフォルダだけを対象にし、本来読めない資料が検索や回答へ混ざらないかを、架空の資料や承認されたテスト環境で確認します。

チェック表を埋めれば、安全と言い切れますか?+

言い切れません。チェック表は見落としを減らす入口です。情報の重要性、実際の設定、運用、提供元の状況によって残るリスクは異なります。専門的な検証が必要な業務もあります。

根拠を確かめたい方へ:参照した公的資料・技術資料 +

本文の説明に対応する資料です。公表時点、対象製品、実被害と研究の違いに注意してご確認ください。すべての情報漏洩事件を網羅した調査ではありません。

  1. IPA:AI利用者のためのセキュリティ豆知識|AI利用の基本対策、外部と社内の区分、RAG、詐欺対策
  2. IPA:利用者向け資料(PDF)|利用者向けの基礎と対策を確認
  3. 個人情報保護委員会:生成AI利用の注意喚起|個人情報入力の利用目的とデータの扱いの確認
  4. 個人情報保護委員会:注意喚起本文(PDF)|入力が利用目的の必要範囲か、学習等への利用を確認
  5. 香港政府:偽動画を使った詐欺の公表|2024年01月の偽会議を使った送金詐欺。2024年06月26日時点の政府公表

    被害企業のAI導入有無はこの資料から判断しない

  6. Anthropic:AIが悪用された攻撃の調査報告|攻撃側のAI利用を提供元が報告

    同社の調査報告。全世界の被害率や対象企業のAI導入状況を意味しない

  7. EchoLeak:公開された技術論文|CVE-2025-32711の研究・修正経緯

    修正済み脆弱性の研究を、現在も続く顧客の実被害として記載しない

  8. 英国NCSC:プロンプトインジェクション|プロンプトの指示とデータの境界、残余リスクとシステム側の制限
  9. 英国NCSC:未承認AIのリスク|未承認AIの可視化と代替手段、禁止だけで終わらせない
  10. 英国NCSC:自律実行型AIの導入|自律実行型AI導入時の慎重な検討
  11. OWASP:機密情報の流出|機密情報の出力・権限・保存ポリシー
  12. OWASP:過大な機能・権限・自律性|過大な機能・権限・自律性、重要操作の人による承認
  13. Microsoft:データ・プライバシー・セキュリティ|基盤モデル学習不使用と対話履歴保存は別。既存権限の見直し

    Microsoft 365の説明であり、同名の個人用サービスや他社全般へ一般化しない

  14. NIST AI 600-1:生成AIのリスク管理|AI固有または増幅するリスク、情報漏洩以外の誤情報等の整理
情報を扱う場所と共有空間の境界を表した架空のオフィスの生成イメージ

START WITH THE BOUNDARY.

安心の言葉より、
任せていい範囲を。

資料・権限・操作・確認する人。
自社の仕事に置き換えて、ひとつずつ整理するところから。

AIの利用範囲から相談する ↗

初回の相談に顧客情報・パスワード・機密資料を送る必要はありません。
業務整理・AI導入支援の相談です。侵入テスト、脆弱性診断、法的適合の保証を行うものではありません。

空間は生成イメージ。実際の設備・導入事例の写真ではありません。